「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」について

「人が会社を作る」

優秀な人材の確保は、古今東西に関わらず、会社経営者にとって、将来の社運に関わる最重要課題ではないでしょうか。「人材が会社を作る」と言っても過言ではありません。優秀な人材が会社に定着してくれて、一日でも長く勤務してくれる…そういう環境を自社に整えて維持をすることがこれからの会社経営者には必要です。

日本における社会状況を反映したキーワード、「労働人口の減少」、「長寿化」、「ジェンダーフリー」、「同一労働・同一賃金」等々に対応した雇用・人事制度を、自社においていち早く構築し推進することは、間違いなく他社を1歩も2歩もリードすることなるに違いありません。

弊所は本年4月から社会保険労務士事務所を併設する運びとなりましたが、その理由は、顧問先の皆様に対し、これまでの弁護士としてのリーガルサービス(守りのサービス)だけでなく、助成金・補助金を活用した人事労務等に関するコンサルティングサービス(攻めのサービス)を積極的にご提案・ご提供したいとの想いからです。

顧問先各位には、改めてご挨拶状をお送りする予定ですが、4月からスタートする弊所の社会保険労務士事務所では、助成金・補助金の申請サポートサービスを通じて、人事労務管理体制の拡充等にご協力して参りたいと考えております。今後も、事務所レターを通じて、会社経営に関わる最新の判例や法改正、そして、顧問先各位が利用できる助成金や補助金のご案内を差し上げて参りますので、どうぞご期待下さい。

では今月は、本年4月1日から中小企業においても適用される「パートタイム・有期雇用労働法」の、いわゆる「同一労働・同一賃金」に関する「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」についてご紹介します。

ちなみに、助成金は国や地方自治体が支給するもので、受給すれば返済の必要はありません。また、申請しても審査により支給されない場合がある補助金とは異なり、必要な条件を満たして申請すれば支給されます。

 

 

【キャリアアップ助成金】

☆キャリアアップ助成金とは?

非正規雇用者の正社員化など、非正規雇用者のキャリアアップに取り組んだ事業主が受けることができる助成金です。

近年、我が国では、総労働者に占める非正規雇用者の割合が増加していることから、非正規雇用者のキャリアアップや待遇向上の促進のため設けられている制度です。

従業員の待遇の向上は、従業員のためだけではなく、企業にとって、優秀な人材の確保と定着につながる経営上大切な施策のひとつだと言えます。

 

☆キャリアアップ助成金のコースについて

① 正社員化コース

有期雇用従業員を正社員に転換した場合

② 賃金規程等改定コース

有期雇用従業員などの賃金規程を増額改定した場合

③ 健康診断制度コース

有期雇用従業員などを対象に法定外の健康診断制度を定め、4人以上に実施した場合

④ 賃金規程等共通化コース

有期雇用従業員などに対して、正社員と共通する職務についての賃金規程を新しく作成・適用した場合

⑤ 諸手当制度共通化コース

有期雇用従業員などに対して、正社員と共通する諸手当制度を新しく作成・適用した  場合

⑥ 選択的適用拡大導入時処遇改善コース

労使の合意を受け、有期雇用従業員などに対して社会保険適用の拡大を行い、基本給 を上げた場合

⑦ 短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者における週当たりの所定労働時間を延ばして、新しく社会保険を適用した場合

 

☆正社員化コースについて

今回は上記のキャリアアップ助成金のコースの中で、「同一労働・同一賃金」への対策ともなり、かつ、一番高額の助成金が支給される「正社員化コース」につき、ご説明します。

「有期雇用従業員を正社員に転換した場合」とは、つまり、有期契約のパート・アルバイト従業員を正社員に転換又は期間の定めのない契約のパート従業員を正社員に転換することです。パート・アルバイト従業員を正社員として雇用し、長く働いてほしいと考えている企業にとって役に立つ助成金の制度です。

(支給金額)

企業規模が「中小企業」の場合で、有期契約のパート・アルバイト従業員を正社員に転換した場合、1人当たり57万円(1事業所につき、1年間に20人まで。「生産性要件」を満たした場合、1人当たり72万円)支給されます。

期間の定めのない契約のパート従業員を正社員に転換した場合、1人当たり28万5000円(1事業所につき、1年間に20人まで。「生産性要件」を満たした場合、1人当たり36万円)支給されます。

※生産性要件とは、申請を行う直近の会計年度の生産性が、3年度前よりも6%以上伸びている等の要件です。

 

☆キャリアアップ助成金の適用条件(正社員化コース)

① 事業主が雇用保険に加入していること

② 「キャリアアップ管理者」を設定していること

※キャリアアップ管理者=事業所に1人設定する。資格などは不要。

③ 「キャリアアップ計画」をコース実施日までに立案し、管轄の労働局長に提出し、受 給資格を受けていること

④ キャリアアップ計画で定めた期間内に、キャリアアップ計画を行うこと

※計画期間は、3年以上5年以内で設定する

⑤ 賃金台帳など、対象従業員への給与支払い状況がわかる書類を整備している事業所であること

 

☆キャリアアップ助成金の申請の流れ(正社員化コース)

① 正社員に転換する日までに、キャリアアップ計画書を作成し、管轄の労働局に提出する。

② 就業規則を改定し、改定した就業規則を管轄の労働基準監督署に提出する。

③ 入社してから6か月以上3年未満の有期契約のパート・アルバイト等を新たに会社が 定めた正社員化のルールに基づき、正社員に転換する。賃金は正社員化前より3%以上アップしている必要あり。

④ 正社員に転換後6か月経過したら(給与を6か月分支払った賃金支給日後)、2か月以内に支給を申請する。

 

☆キャリアアップ助成金の正社員化コースやその他のコースにつきご興味がある等、助成金の申請につきご相談がございましたら、お気軽に弊所あてご連絡ください。

 

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