労働審判・訴訟を提起された

労働審判を申し立てられた
訴訟を提起された

 

・労働審判の対象となる紛争とは

・労働審判とは

・労働審判の手続の流れ

・労働審判の「調停調書」、「審判書」とは

・労働審判を申し立てられたときに弁護士を活用するメリット

 

労働審判の対象となる紛争とは

労働問題を解決する制度の一つで、通常の裁判と比べて、スピーディーかつ費用も低廉に抑えられる裁判所の手続です。

ただ、どのような労働問題でも「労働審判」を申し立てられるというわけではなく、「個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争」(個別労働関係民事紛争)の解決を目的とするので、

  • 団体である労働組合と、事業主(会社)との間の紛争については労働審判を申し立てることができません。
  • 労働者間(対労働者個人)のトラブルについても労働審判を申し立てることはできません。
  • 民事に関する紛争を扱うものなので、公務員の場合は、基本的には労働審判の対象になりません。
  • 「労働関係の存否その他の労働関係に関する事項」の紛争を対象としているので、賃上げ交渉などの利益闘争は労働審判を利用できません。

あくまで、個人と事業主との間の紛争を解決する手段なのです。

 

・労働審判とは

労働審判は、基本的に、相手方の住所(営業所・事務所)または、紛争発生時の労働者の勤務地を管轄する地方裁判所が管轄裁判所になります。

労働審判は、裁判官より選ばれた「労働審判官」1名と、労働関係に関する専門的な知識経験を有する、労働組合の役員や企業経営者、人事担当者などから選ばれた「労働審判員」2名から構成される、「労働審判委員会」が紛争当事者の間に入って、紛争解決を図る制度です。

法律のスペシャリストである裁判官に、具体的な労働関係や労働環境といった「現場を知る」スペシャリストがサポートする形で加わることで、紛争を適切かつ早期に解決することを目指しています。

また、通常の裁判と異なり、非公開で行われますので、当事者のプライバシーに配慮した制度だと言えます。

・労働審判の手続の流れ

労働審判において、裁判所に当事者が赴くのは、多くても3回です。労働審判の申立てがなされてから、平均約70日で終了しますので、訴訟提起から判決まで、1年以上かかることが少なくない通常の訴訟と比べて、スピーディーに進行します。

また、書面でやりとりをする通常の訴訟と違って、審理(弁論や証拠調べ)が口頭で行われます。第1回期日に当事者双方が、証拠となる書面や資料を裁判所に提出すると、その後は当事者の口頭でのやり取りがメインになりますので、通常の訴訟よりも進行が迅速だと言えます。

最大3回の審理中に、労働者と事業主の間に、労働審判官と労働審判員が入って、双方の間で合意による調停成立に至るように、話し合いがなされます。

データでは、第1回期日までに終了する割合が、約30パーセント。第2回期日で終了する割合が約40パーセントですので、約70パーセントは2回目までに調停が成立しています。第3回期日で話し合いがまとまらない場合には、裁判所より審判が下されます。

裁判所の審判に対して不服がある場合には、2週間以内に当事者双方から異議申立てができます。異議申立てがなされると、通常の訴訟に移行します。

 

☆第一回期日☆

申立て受理後、約1か月後に第1回期日が行われます。

申立人、相手方双方は第1回期日までに全ての主張書面や、証拠書類を事前に一括して裁判所に提出する必要があります。

この事前に提出された書面と証拠資料をもとに、第1回期日では、裁判官である労働審判官と民間から選ばれた労働審判員を交えて、事実確認や話し合いがなされます。

具体的には、第1回期日までに提出された書面や証拠資料に基づいて、労働審判官と労働審判員が、労働者と事業主に質問をする形で進行をして、労働者と事業主の間の争いの内容を明らかにし(争点整理)、それが事実に即したものかどうかを、証拠書類と当事者への質疑応答から判断するのです。

つまり、労働審判において第1回期日において、本件紛争に対する当事者双方の立場への、労働審判官と労働審判員の印象(心証)が形成されます。

労働審判においては、第1回期日の主張・立証活動が、その後の調停・審判の判断に重要な影響を及ぼすと言えます。

第1回で話し合いがついた場合は、調停調書が作成され、裁判所が職権で判断する場合は審判が下されます(約30パーセントが第1回期日で終了)。

 

☆第2回期日☆

第1回期日に提出された書面・証拠資料・証言した事実をもとに、話し合いがなされます。第1回期日において労働審判官と労働審判員の心証が形成されているので、第2回、3回期日においては、主に金額等の和解条件について話し合うことになります。

労働審判手続では、通常第2回期日までで審理が終了します。

(約40パーセントが第2回で終了。第1回と合わせて約70パーセントが第2回期日までに終了します。)

 

☆第3回期日☆

第2回期日までに話し合いがまとまらなかったり、事実認定について当事者間で争いがある場合は、第3回期日が開かれます。

労働審判はこの第3回期日で終了しますので、この期日に話し合いがまとまらなかった場合には、裁判所による審判が下されます。

司法統計によると、労働審判は労働審判の約17パーセントで発令され、うち7%が確定し、10パーセントが異議申立てをしています。

 

労働審判事件のうち、

約70パーセント→1、2回期日までに調停成立

約17パーセント→労働審判発令(うち、7パーセント審判確定。10パーセント異議申立てで、通常訴訟に移行)

約9パーセント→申立て取下げ

約4パーセント→労働審判法24条に基づき終了。労働審判をするのに適切な事案でないと判断された場合。通常訴訟に移行します。

となっており、労働審判手続の進行のスピーディーさが明らかになっています。

 

・労働審判の「調停調書」「審判書」とは

調停調書とは、話し合いにより当事者同士が合意した際に作成される合意文書です。裁判所が作成してくれ、当事者双方に交付されます。

ここで約束した内容を守らないと、調停調書には判決と同様の「執行力」がありますので、調停調書に基づき、不動産の差し押さえや預金や債権差し押さえなど、強制執行手続をとることができます。

審判書とは、調停が成立しなかった場合に裁判所が下す判断を示した文書です。審判を受けてから2週間以内に、当事者双方から異議申立てがなされない場合、確定します。確定した審判書は、通常訴訟の判決と同様の効力を有することになり、覆すことができません。当事者が審判の内容に反した場合、審判書に基づき、調停調書同様、強制執行手続を取ることができます。

審判書に意義がある場合は、2週間以内に異議申立てをすることができ、異議申立てをなされると、通常訴訟に移行します。労働審判の内容は通常訴訟に引き継がれます。

 

・労働審判を申し立てられた際に弁護士を活用するメリット

労働審判は、通常の訴訟よりも手続がスピーディーに進むこと、また、第1回期日までの準備と、第1回期日が非常に重要なキーポイントとなることは、今までのご説明でお分かりになられたと思います。

第1回期日において労働審判官、労働審判員に与える心証により、その後の調停・審判の内容が左右されてしまうからです。第1回期日に提出する書類で決定的な証拠を出した方が、有利に手続を進められるのです。

しかし、申立人である労働者側にとって、労働審判の提起は、当然想定内のことですが、相手方である事業主側にとっては、いきなり裁判所からの呼出状が届くので、戸惑うことが多いでしょう。

また、通常の訴訟より早く問題を解決でき、申し立てやすい手軽な手続であるとはいえ、申立人には代理人弁護士がついていることが多いです(裁判所も弁護士を立てることを推奨しています)。

事業主としての忙しい立場にありながら、約1か月後の第1回期日までに、裁判所を説得し、納得させる書面を作成したり、説得力のある証拠資料を収集し、分かりやすい状態にして提出することは、極めてハードルの高い作業だと考えられます。

さらに、労働審判は「口頭主義」で審理が行われますので、通常の裁判以上に、審理において当事者の発言内容が重要になります。軽い気持ちで行なった発言が、その後の審理に影響を与えてしまう恐れがあるので、不用意な発言をしないよう通常の訴訟以上に慎重になる必要があります。

法律と交渉のエキスパートである弁護士にご相談・ご依頼いただければ、まず、今後の見通しを検討したうえでご説明し、クライアントの皆様の不安を払しょく致します。

裁判所に提出する書面の作成はもちろん、提出すべき証拠資料の選択(あえて提出しない方がよい資料もあります)、証拠資料をより有効に活かせる方法での提出についても判断し、クライアントの皆様の手間・労力を低減します。

そして、論理的かつ客観的な証拠を提出して審理を有利に導きます。

また、期日にも同席致しますので、こちらの不利になるような不用意な発言を避けることができます。もちろん裁判での応答のプロである弁護士が味方につくことにより、裁判所での話し合いを有利に運ぶことができます。

たとえ、クライアントに不利な状況であったとしても、交渉のプロである弁護士にお任せいただければ、クライアントに最大限有利な内容での調停・審判を成立させるよう裁判所と相手方に働きかけます。

労働審判を申し立てられたからといって、ご多忙なクライアントの皆様の貴重な時間を無駄に費やしたり、決着がつくまで不安な気持ちで過ごされることはありません。

労働法務を数多く手がけ、得意とする武蔵野経営法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。企業法務に関するご相談は初回無料です。

労働審判の申立書がお手元に届いたら、お一人で悩まず、至急、ご相談にお越しください。少しでも早くご相談いただければ、その分、防御や準備の時間がとれます。労働審判の代理人になれるのは弁護士だけです。ぜひお早めにご相談下さい。

・訴訟を提起された

 

・従業員(元従業員を含む)から訴訟を提起された場合に手元に届くもの

・訴訟提起された場合のタイムスケジュール

・訴訟提起された場合にどう対応するか

 

  • 従業員(元従業員を含む)から訴訟を提起された場合に手元に届くもの

訴訟を提起された場合、裁判所からお手元に訴状期日呼出状答弁書催告書が裁判所から、特別送達郵便で送られてきます。

訴状とは、訴えの提起にあたって原告が裁判所に提出する書面のことで、その訴えに関わる当事者や、どういうことを請求して訴えたのかということが書かれています。

期日呼出状とは、この訴えの裁判を開くから、何月何日何時にどこそこの裁判所に出頭するように、という通知書です。

答弁書催告書には、期日呼出状に記載されている裁判の日の1週間前までに、受け取った訴状についてのあなたの意見を、「答弁書」という書面として作成して裁判所に提出しなさい、ということなどが書かれています。

答弁書を裁判所に提出せず、裁判に出頭もしないで放置しておくと、原告の主張する内容が事実だと認められて、原告の主張どおりの判決が言い渡されます(原告側の勝訴判決)。

原告側は、判決が言い渡された後、被告が請求に応じない場合、その勝訴判決をもとに手続を行い、被告の財産に対して強制執行をする可能性があります。

 

※原告、被告という呼称について

裁判上、民事事件の訴えを起こした人を「原告」、起こされた人を「被告」と呼びます。

犯罪を犯した疑いのある人のことを刑事事件では「被告人」と呼びますので、そのマイナスのイメージから、裁判所や原告側から悪人呼ばわりされているように感じる方も多いですが、裁判上の呼び方に過ぎません。

民事上の裁判とは、悪いことをしたから訴えられた、というものではなく、あくまで原告が、「裁判所において紛争解決の判断をしてほしい」ために訴えを提起するものだからです。

つまり、裁判所から「被告」が「原告」に比して不利に取り扱われたり、「被告」の主張は認められないということはありません。訴えられても、自分の言い分をきちんと主張すれば、裁判所は公平に判断をしてくれます。

 

  • 訴訟提起された場合のタイムスケジュール

基本的には、期日呼出状に記載されている裁判の日の1週間前までに、自分の意見を答弁書として裁判所に提出する必要があります。

答弁書を期限までに提出できない諸般の理由があったとしても、遅くとも裁判の日までには自分の意見を主張する必要があります(裁判に出頭して意見を述べるなど)。

答弁書も提出せず、裁判にも出頭しない場合、裁判所は被告側が裁判の内容について争わないものとして、原告の請求どおりの判決を言い渡します(原告の勝訴)。

呼出状に記載されている日時に裁判所に出頭できない場合でも、答弁書を提出しておけば、被告が原告の請求に争う姿勢を見せたと判断し、裁判所は判決をすぐに言い渡すことはなく、次の裁判の日時を決めてくれます。

 

  • 訴訟提起された場合にどう対応するか

訴状が届いた場合は、相手方からの請求に対し、自分の意見を期限内に主張することが必要です。

裁判所からの送達物を受け取らなければいいのではないか、と考える方もいると思いますが、その考えは間違いです。

裁判所からの送達物を受け取らなくても、裁判所が書留で送付するだけで、受取人側が実際に受け取ろうが受け取るまいが、送達がなされたとみなされる「付郵便送達」という送達方法や、裁判所の掲示板に訴状等を掲載して、期限が来たら送達したものとみなされる「公示送達」という送達方法もありますので、裁判所からの送達物を受け取らなくても、訴訟は進行してしまうのです。

訴状を受け取らなかった場合、その内容がどのようなものなのかすら確認できない状態で、相手方の主張するとおりの判決がなされますので、あなたは大変不利な立場に立たされるおそれがあります。

また、裁判所からの郵便物ということで、おそれを抱いて、なかなか郵便物を受け取らない方もいらっしゃいますが、それも間違いです。

自分の側に言い分があるのであれば、裁判所から指定された期限の間に、異議申立てなり、答弁書を提出するなり、アクションを起こさないわけにはいかないのですから、少しでも早く書面を受け取り、内容を確認して、どう対応するか、方針を立てる必要があります。受取りを先延ばしにすると、それだけ準備の期間が短くなります。

届いた訴状の内容を確認し、相手方の請求内容を把握したうえで、裁判所に提出する書類を作成したり、裁判所に出頭することは一般の方には、なかなかハードルが高いことだと思います。少しでも不安がおありなのであれば、すぐに弁護士にご相談されることをお勧めします。

裁判所にどのような書面を作成して提出すればよいかのアドバイスはもちろん、弁護士に正式にご依頼頂けば、必要な書面を作成して裁判所に提出するとともに、弁護士が依頼者ご本人の代理人として出頭致しますので、依頼者の方々の貴重な時間を割いて頂くことなく、訴訟に関するわずらわしい手間を省くことができます。

また、法律と交渉のプロである弁護士にご依頼頂くことで、依頼者の方々の利益を守る最善の防御態勢をとることができますし、たとえ原告の言い分どおりの状況であったとしても、原告への支払方法(分割にするなど)や、支払う金額について(減額してもらうなど)交渉し、「和解」という形で訴訟を終結させる方法をとることもできます。

つまり、弁護士にご相談され、ご依頼いただくことで、依頼者の方々の精神的・時間的なご負担を軽減し、ご自身の本業に専念していただくことが可能となるのです。

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