2021年4月号
「人材を掘り起こす」
新年度にあたり、新入社員を迎えられた顧問会社様も多いと思います。会社の明日を担う若い社員の雇用・育成も大切ですが、昨今の人手不足の状況下においては、ベテラン社員の確保・活用も貴社の発展にとって重要なファクターです。
政府が提唱する「一億総活躍社会」においては、社員の性別はもちろん、年齢においても、今まで存在したリミッターを取り払い、能力・やる気のある社員を積極的に活用することを目指しています。会社の成長をますます促すために、貴社においても改めて人材の掘り起こしが必要ではないでしょうか。
なお、「一億総活躍社会」を実現するため、「改正高年齢者雇用安定法」が本年4月1日から施行され、全ての企業において、労働者の70歳までの就業機会を確保する措置を講じることが努力義務とされました。
そこで、その努力義務を果たすために高齢者従業員を積極的に活用する企業をバックアップするための制度として、「65歳超雇用推進助成金」という助成金があります。今回は、その中の「65歳超継続雇用促進コース」についてご説明いたします。
貴社の現状と照らし合わせ、受給申請できるのではないかと思われたら、ぜひ弊所にご相談下さい。
経営に役立つ助成金紹介
【65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)】
☆「65歳超雇用推進助成金」とは
高年齢者が意欲と能力のある限り、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現するため、65歳超への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成するものであり、次の3コースで構成されています。
① 65歳超継続雇用促進コース
② 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
③ 高年齢者無期雇用転換コース
☆65歳超雇用推進助成金の各コースのご説明
① 65歳超継続雇用促進コース
継続雇用年齢や定年年齢の引き上げをした場合に支給されます。65歳超への定年の引き上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施した事業主に対して、60歳以上の被保険者数と導入した措置に応じて5~160万円の助成金が支給されます。
② 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
雇用管理整備計画を実施し、その実施期間中に雇用管理制度の見直しのために要した支給対象経費(人件費を除く)に対し支給されます。具体的には、雇用管理制度の導入・見直しに必要な専門家への委託費や、コンサルタントへの相談経費、実施にともなって導入した機器・システム・ソフトウエアの経費の60%(生産性要件を満たした場合、75%)が助成金として支給されます。
③ 高年齢者無期雇用転換コース
無期雇用転換計画を実施し、その実施期間中に無期雇用労働者に転換された対象労働者1人につき48万円(生産要件を満たした場合、60万円)が助成金として支給されます。
☆65歳超継続雇用促進コースの適用要件
当コースの主な要件は以下のとおりです。ただし、1事業主1回限りの支給です。
① 労働協約又は就業規則により、次の[1]~[3]のいずれかに該当する制度を実施したこと。
[1]65歳超への定年引上げ
[2]定年の定めの廃止
[3]希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入
② ①の制度を規定した際に経費を要したこと。
③ ①の制度を規定した労働協約又は就業規則を整備していること。
④ 支給申請日の前日において、高年齢者雇用推進員の選任及び高年齢者雇用管理に関する措置を実施している事業主であること。
⑤ ①の制度の実施日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、高年齢者雇用安定法第8条又は第9条第1項の規定に違反していないこと。
⑥ 支給申請日の前日において、当該事業主に1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。期間の定めのない労働契約を締結する労働者又は定年後に継続雇用制度により引き続き雇用されている者に限る。)が1人以上いること。
☆65歳超継続雇用促進コースを受給できる事業主
① 雇用保険適用事業所であること。
② 労働契約書・出勤簿・賃金台帳等審査に必要な書類等を整備・保管していること。
③ 就業規則等を書面により定めていること。
☆65歳超継続雇用促進コースの申請の流れ
定年引き上げ等の制度実施日の翌日から起算して2か月以内に、事業主の主たる雇用保険適用事業所の所在する都道府県支部高齢・障害者業務課に申請します。
今回ご説明した65歳超雇用推進助成金以外の助成金につきましても、気になる助成金がありましたら、お気軽に弊所にご相談下さい。